エジェクターを利用した2段圧縮方式による高精度(高真空度)冷媒回収装置
高精度冷媒回収装置 フローシート
内容説明書
【1】市販機(冷媒回収機)の欠点を改良した点
1. 圧縮機の過熱運転抑制
真空領域においては(特に高真空領域▲300 mmHg以下)、各社の回収機は圧縮機(主にレシプロ)が過熱して故障が多発します。
改良点
エジェクターの噴射流体(冷媒)により、高段側圧縮機の吸入圧力を高く設定できる(大気圧程度)ため、圧縮比が小さくなり過熱運転を抑制すると共に、同じ流体で冷却も行います。
エジェクターの噴射流体(冷媒)により、高段側圧縮機の吸入圧力を高く設定できる(大気圧程度)ため、圧縮比が小さくなり過熱運転を抑制すると共に、同じ流体で冷却も行います。
2. 低圧圧力開閉器(圧縮機保護)の必要性
各社の回収機(一部の機種を除く)には低圧圧力開閉器が内蔵されており、回収完了前に回収機が停止し、回収時間がかかります。また、回収率が低下しました。
改良点
長時間真空領域での回収を可能にしました。長時間回収機吸入バルブを閉栓運転(真空運転)も同時に可能となりました。現場では、回収機を停止することなく使用できるため、回収時間が短縮され、回収率が非常に向上しました。
長時間真空領域での回収を可能にしました。長時間回収機吸入バルブを閉栓運転(真空運転)も同時に可能となりました。現場では、回収機を停止することなく使用できるため、回収時間が短縮され、回収率が非常に向上しました。
3.潤滑油の劣化及び減少抑制
真空領域においては、一般的に潤滑油は高温になるため劣化しやすく、潤滑油が減少傾向にあります。
改良点
本機のエジェクターはオイルレスで、メンテナンスフリーを可能にしました。
本機のエジェクターはオイルレスで、メンテナンスフリーを可能にしました。
4. 真空到達度向上
現在の回収機では、真空▲400 mmHg前後が限界であり、ホース抵抗等を考えると、装置内の真空到達度が向上しません。
改良点
真空到達度を最高▲700 mmHg程度まで可能にしました。なお、冷媒回収作業において、▲600 mmHg程度で充分と思われます。
真空到達度を最高▲700 mmHg程度まで可能にしました。なお、冷媒回収作業において、▲600 mmHg程度で充分と思われます。
【2】法的問題の解決
従来のブースターポンプ方式では、耐圧面でも重量的にも問題が多くありました。しかし、本機エジェクターは小型で軽量なうえ、配管接手類と同等の扱いとなるため、通産省告示第139号にも合致します。
【3】欠点
- 理論成績係数は悪いですが、実際の使用上において有限量の冷媒を回収する場合ですので、従来のブースターポンプ方式よりもはるかに省力であり、電力使用量も少しの損失のみと判断できます。
- 自動制御に少し精度が必要です。
イ)空冷式冷媒回収機の場合回収冷媒の液面制御が必要
ロ)低段側圧縮機(エジェクター)作動開始タイミング
ハ)エジェクター定圧噴射圧力の調整
*現在ほぼ100%の解決をみています。
【4】稼働実績
- 同型機合計7台を保有し、延べ数百時間(過去3年間)の冷媒回収に使用しましたが、いまだ故障などもなく、優秀な成績です。
- 冷媒回収に伴う回収実績も数十トンを超え(3ヶ年)、平成11年度の近畿地区においては冷媒回収などの実績では第2位として、近畿冷凍空調工業会様より表彰されました。
- 現在もほぼ毎日のように冷媒回収を実施しておりますが、本回収機において特に不便を感じる点はありません。
【5】おわりに
エジェクターの選定と製作、高段側圧縮機とのマッチングに多少の難度はありますが、調整完了後は一切の調整が不要で、運用面では省力です。
皆様が本方式を採用されまして、少しでも地球環境保護に役立つことができましたら筆者としても、また当社としても大きな幸と思います。